叶う。 Chapter1





その後はもう、携帯が振動することはなかった。

ただ、私はなんとなく今まで見たことが無い、携帯の取り扱い書を机から引っ張り出して、読み始めた。

携帯の取り扱いなんて、普段は面倒で色々な設定すらレオンにやってもらうくらい機械音痴な私だけれど、明後日は凛ちゃんと遊ぶ。


凛ちゃんはいつも携帯を器用に扱っていて、私はそれをただ眺めているだけだったけれど、なんとなく自分も凛ちゃんみたいに、きちんと携帯が扱えるようになりたいと思った。

ごく普通に友達と連絡を取り合ったり、今日みたいなことがないように、家族ときちんと連絡がとれるようにしておかなくちゃいけないと、なんとなくそう思った。


同じ間違いを繰り返す事はしたくなかった。


取扱説明書は、さっき読んだ本とは違いとても難しかった。
だけれど、私は一つ一つきちんと確認しながら携帯を操作する。

悪戦苦闘を繰り返し、何度も間違えながら、私はその操作をなんとか人並みに使える程度まできっちりと学習した。
いくつか分からない所があったけれど、それは今度レオンに会った時にでも教えてもらえばいい。


そう思った瞬間、微かに玄関の扉の開く音が私の耳に聞こえてきた。