叶う。 Chapter1



暫くすると、また携帯が短く振動した。
私はビックリして、携帯を取り落とした。

だけれど、すぐさまそれを拾い上げて、メールを確認する。
それはまたシオンからで、たった一言の短いメールだった。


“おやすみ”


普段のシオンからは、想像が出来ないそのメール。

私は一瞬、シオンが送信先を間違えて送ってきた物だと解釈した。

だって、シオンは私を抱いた後ですら、おやすみなんて言ってくれたことがない。

必ず額にキスをしてくれるけれど、その後は何もなかったかのように居なくなるのが当たり前だった。

それは私も同じで、レオンやママにはおやすみとか、おはようとか挨拶をするけれど、それはレオンやママが私にそう言うから返事をするだけであって、言われなければきっと私も言わないと思う。

どうするべきか一瞬考えたけれど、もしシオンが誰か別の人にメールを送ったつもりだったとしても、妹である私から“おやすみ”というメールがきても、普通に考えればおかしな事じゃない。

だから私は一応、それにも返事を返した。


“おやすみなさい”

そう、それだけならきっとおかしくない。