私のヒーロー

……浅木くん。



「諦めるなんて
情けないこと言わねぇよなー?」



屋上の扉を
見つめていれば


どこからか
憎たらしい声が聞こえてきた。


顔を見なくても分かる。
この声は……。



「諦める訳ないでしょ!
姫条くん!!」

「はっ!
この前は弱ってたくせに」

「あ……あれは!!」



思い出すだけで恥ずかしい。

姫条くんに
抱き着いちゃったなんて。



「……なぁ」

「なーに?」



さっきまで
私をからかっていたのに

何でいきなり
そんな真剣に見つめるの?