「お前は嘘をつける性格じゃない」

「浅木くん?」



浅木くんの手は
微かに震えている。

ねぇ。
あなたは何を抱えているの?


その胸の奥底に。
いったい……何が……。



グッと拳を握りしめ
じっと耐えていれば
低い声が静かに放たれる。



「その言葉も
おそらく本当の事だろう」



そう言いながら

震える手のひらを
ゆっくりと上げ
自分の胸元に持っていく。



「だが……。
俺は誰も信じない」

「……え……」



ぎゅっと胸元を
強く掴む浅木くん。


彼の痛みが
苦しみが
私に伝わってくる。


だから無意識に
私は彼の震える手を両手で握りしめた。