私のヒーロー

「俺ずっと屋上にいた。
下の隅っこ、ちょうど
死角になってて見えないから
気付かなかったかもしれねぇが」



じゃあ何……?
全部知ってるって事?


あんな場面を見られたなんて。

つくづく情けないな……私。




「笑っていいよ。
ってか笑ってよ」



その方がずっと楽。

思いっきり
馬鹿にしてくれた方がずっといい。


なのに姫条くんは
ちっとも笑ってくれない。


何も言わないけど
ジッと私を見つめたまま動かない。



「やめて……。
そんな真っ直ぐな目で見ないでよ……」



そんな目で見られたら……。



自分の弱さが

自分の無力さが

嫌でも突き刺さる。