私のヒーロー

「何して……。
離してよ!!」



どんなに強く押しても
姫条くんはビクともしない。

それどころか
もっと強く抱きしめられる。

この力の差が
私を女だと思い知らせる。



「もう……。
何なの……何なのよ」



抵抗する気が失せて
私は力を弱めた。



「亜樹」

「……」



姫条くんが
私の名前を呼んでいる。

私が答えないでいると
そっと体が離される。



「お前は何を
1人でウジウジしている」



真直ぐ私の目を
見ながらそう言った。


何よ……。
何も知らないからって……。
そんないい方しなくても。



「何も知らないくせに
勝手な事、言わないでよ!!」



ははっ……。
なに怒鳴ってるのよ。
ただの八つ当たりじゃない。

そんな自分が
情けなくてムカついてもう嫌だ。



「……知ってる。
お前と浅木のやり取り聞いてたから」




え……?
今……なんて言った?