私のヒーロー

「俺に構うな」



“何で……?”
そのひと言さえ言えなかった。



そんな私に
見向きもしないで
浅木くんはゆっくりと私から離れていく。


少しずつ
小さくなる浅木くんの背中。




「嫌……。
……な……で」



行かないで……。
浅木くん……。



私の言葉も想いも
浅木くんには届かなかった。


屋上の扉が閉まる音が
私の胸を痛めつけた。