私のヒーロー

「だから今度は……。
私が優輝を助けるから。


優輝が心から笑える日を
私が一緒に作るから……。


だから……」




上手い言葉は言えないし
ちゃんと伝えられるかは分からない。


だけど……。
最後までちゃんと言わなきゃ。




「一緒に過去を乗り越えよう?」

「……っ……」




優輝の顔は一瞬だけ
哀しみに染まっていた。



私……思うんだ……。



優輝は……。


皆に本当の自分を
知って欲しいんじゃないかって。


偽りの爽やかな笑顔じゃなくて
真のキラキラした笑顔で
笑いたいんじゃないかって。



ご両親の事も本当は……。



凄く哀しいんじゃないかって。


捨てられて
哀しくない訳ないもんね?


それでも皆の前で泣かなかったのは……。


泣いたらもう……。


本当にご両親が
帰ってこなくなりそうで
怖かったからなんじゃない?