私のヒーロー

「亜樹……。
優輝はすぐに帰って来るからな?」




原田は亜樹の髪の毛を
そっと撫でながら微笑んでいた。



でもその目は……。
俺らと同じように哀しみで溢れていた。



っ……。
俺は……何もできない……。



原田たちが苦しんでいる時に
何もしてやれない。


それどころか……。
俺の方が助けられている。





「なぁ亜樹……。
俺は……お前がいないと駄目みたいだ……」




亜樹が真っ直ぐな笑顔で
俺の傍にいてくれたから……
俺も笑顔になれた。


亜樹が優しくしてくれたから
俺も優しくなろうと思えた。



亜樹がいないと俺は何も出来ない。




「原田たちを……。
姫条を……。


笑顔に出来るのはお前だけだ。



だから……。
早く戻って来い」




亜樹の手を掴み
そっと目を閉じた。