私のヒーロー

「……姫条……」

「……浅木……」




俺には姫条の哀しみが
痛いくらいに分かる。


だから……。
放って置けないんだ。



コイツから笑顔が消える事なんて
亜樹も望んでないと思うから。





「亜樹は大丈夫だ。

俺たちが思ってるより
アイツはずっと強い」



いつだって……。
どんな時だって……。


亜樹は前を向いて走ってきた。



自分がボロボロになっても
諦める事を知らない亜樹。



そんなアイツが……。

こんな事で死ぬわけない……。



震える手のひらを握りしめ
俺は姫条に笑顔を向ける。




「だから笑え。

亜樹が起きた時に
お前がそんな情けない顔を
していたらコイツが悲しむ」



無理やり口角を上げ俺は
姫条を見つめる。


作り笑いなんて
バレバレだろう。


でもそんな事は
どうでもいい。


今……俺が出来る事は


姫条に元気と笑顔を
取り戻させることだけだから。