それでも稜也は優しく包み込んでくれる。



情けないな……。
何で私はこんなに弱いんだ……。



拳を握りしめていた時

私たちに向かって
誰かの声が跳んできた。




「2人ともちょっと来て」

「蒼太……」




蒼太は私たちを人気がない所まで
連れてきた。



「何か用か」



稜也の目はまた冷たくなっている。

私は何も声を掛けられなかった。

ただ隣で手を握る事しか出来ない。


そんな私でも
稜也は受け止めてくれた。



優しく握り返される手が
すごく温かくて……嬉しかった。




「今すぐ逃げろ。
今なら楼孤のトップはいない」

「蒼太……。
あんたどうして……」




稜也をまた裏切ったくせに
どうして私たちを助けようとするの……?




「何か企んでるのか?」

「違う!」



稜也の言葉に蒼太は
叫んでいた。