「ふざけるな……。

お前はここにいたら駄目だ……。
姫条を裏切る事になるんだぞっ……!!」



稜也は私の肩に掴みかかって
凄い怖い顔で睨んでくる。



そんなの……。
分かってるよ……。


私だって……。




「裏切りたくなんかないっ!!」

「だったら今すぐにアイツの所へ戻れ!

裏切られる辛さを
アイツに味あわせる事になるんだぞ!」

「稜也は知ってるもんね。
……その辛さが……」

「あぁ……」



苦しそうに顔を歪める稜也。

蒼太の事で稜也はずっと苦しんできた。
ずっと……ずっと1人で……。


なのにっ……。
今度もまた1人で苦しむ気……?




「そんな稜也に……。

裏切る哀しみまで1人で背負わせたくない!!」

「亜樹……」



もう十分だよ。

稜也が私を想う気持ちは
痛いほど伝わってきた。


だから……。



「一緒に闘おう?
2人なら……哀しくなんかないから」


「あき……」



稜也の頬から
流れ落ちる涙を見て私は少し安心した。


稜也にもまだ……
光が残ってる。


ぜんぶ闇に飲み込まれた訳じゃないって分かったから。