「これからも……。
稜也の傍にいてやってくれ」

「当たり前じゃん!
っていうか蒼太もでしょ?」




これからは
私や優輝たちだけじゃない。


蒼太だって傍にいる。



「俺には……。
アイツを哀しませる事しか出来ない……」

「え……?」



蒼太の言った
言葉の意味なんて分からない。



ただ……。
蒼太はまだ何かに苦しんでいる。


……そんな気がする……。




「いや……何でもない!

おーい稜也!!
先に行くなよー!!」



蒼太は私に笑顔を向けると
稜也の所まで駆けて行った。


さっきの蒼太の顔や言葉は
何を意味しているんだろう……?


不思議に思って
稜也と蒼太を見つめる。




「なぁ稜也!
お前さっきどっちに嫉妬したんだよ?」

「……何の事だ?」

「惚けなくてもいいって!

俺と仲良くする亜樹にか?

それとも
亜樹と仲良くする俺にか!?」




仲睦まじい光景がそこにはある。


だけど……
あの2人を見ていると胸がザワザワする。



まるで今日の朝に感じた
嫌な予感みたいに……。


もしかして……。
また何かが起こるのだろうか……?




「おーい!
亜樹ー何してるんだよ!?」

「置いてくぞ」



2人は立ち止まり
私を待っていてくれる。



……私の気のせいだよね?
もう……何も起こらないよね?


ううん。
起こる訳ない。



「今行く!」



私は胸のざわめきを誤魔化す様に
2人の元へ走って行った。