私のヒーロー

「亜樹も!
これからよろしくな?」



安藤 蒼太が私に向かって
手を真っ直ぐに突き出している。



「こっちこそ……。
よろしくね蒼太!」



私も迷うことなく彼の手に
自分の手を重ねる。




「……いい時間になったし……。
そろそろ帰るか」




そう言って稜也は
クルッと向きを変えた。



稜也が歩き始めた時

蒼太の顔は悲しみに歪んだ。




「蒼太……?」



どうしたんだろう……?
すごく……悲しそう……。




「亜樹……ありがとな」

「え……?」



ボソッとそう言って
稜也の背中を見つめる蒼太。




「アイツの近くに
お前がいてくれてよかった。


亜樹がいなかったら稜也は……。
人を信じれいままだったと思う」




稜也の背中を見ているはずなのに


蒼太の目は……。
どこか違う所を見ているように感じた。