私のヒーロー

……不良界の頂点……。


私には不良界の事はよく分からない。

でも……頂点を目指すのは
凄く難しい事だって事だけは分かる。

やり方が正しいかは別として……。
安藤 蒼太も必死だったんだろう……。



「そんな時……。

俺の仲間が……
喧嘩を吹っかけた相手に負けたんだ。


それが……
稜也……お前だ」



安藤 蒼太は
稜也をまっすぐに見つめた。



「俺たちは“負けた事実”を
どうにかして消さなければならなかった。


そうするには
お前を倒さなければいけない。


だから俺はお前に近づいた」



……意味が分からない。

稜也を倒したからって
負けた事は消えない……。


そんな事の為に……。
稜也を傷つけたって事……?



私は頭にきて怒ろうとしたけど
稜也は黙って安藤 蒼太の話を聞いている。


当事者が怒らない以上……
私には怒る権限はない……。


そう思いながら
怒りで震える手を握りしめる。



「最初は……。

精神をズタズタに切り裂いて
そのままサヨナラするつもりだった。


でも……。

稜也と関わるうちに
本当にお前といるのが楽しくなった。


お前ともっと一緒にいたい……。
ずっとそう思ってた……」



安藤 蒼太の声が静かに消えていった。