私のヒーロー

「亜樹……」

「優輝……」



久しぶりに感じる温かさ。

やっぱり……。
喧嘩なんかするもんじゃない。




って言うか!!




「優輝!

あの人に本性を
見せちゃったけど大丈夫なの!?


バレちゃうんじゃ……」



どうしよう……
私のせいで優輝の正体が……。


1人でパニック状態に
陥っていれば呆れたような

でも優しい声が聞こえてきた。




「人の事ばっか気にしてんじゃねぇよ!
本当に……お前は馬鹿だ……」



優輝はそう言うと
私を真っ直ぐに見つめた。



「亜樹……悪かった。

俺さ……
浅木に嫉妬してお前に八つ当たりした。


お前がアイツの事を
好きなんじゃないかって……。


お前の事は信じてるのに……。


不安で不安でたまらねぇんだよ……」




優輝の体は凄く震えていた。


もし私が……
この手を離したら


優輝が消えてしまう
そんな感じがする……。


……不安なのは私だけじゃないのか……。


優輝も私と……
同じ気持ちだったのかな……?



そう思い
ぎゅっと優輝に抱き着く。



「私も嫉妬した……。

優輝が女の子と話す度に
胸がギュって苦しくなる……。


優輝が私を
好きでいてくれるのは分かってる。

でも……私も不安なの」



素直になる。

それが私たちには
足らなかったのかもしれない。