私のヒーロー

「お前をアイツから奪って……
アイツの人生を滅茶苦茶にしてやる!!」



男の目は本気だった。



「やめっ……お願いやめて!!」

「うるさい……。
恨むなら彼氏を恨むんだな!!」

「っ……」



また気持ち悪い感触が唇に与えられる。



こんな男に好き勝手にされてたまるか!!




「っ……なにしやがる」

「はっ……。

アンタなんかに触られるほど
……安い体じゃないんでね」




目の前の男の唇からは
真っ赤な血が流れていた……。


まぁ……
私が噛んだからなんだけど……。


じわっと
鉄の味が口に広がっていく。



気持ち悪い……。




「いい度胸してんじゃねぇか!!」



油断していたのかもしれない。


男から離れられたことで
私はすっかり安心しきっていた。


いきなりガクンッと
その場にしゃがみ込んでしまう。