私のヒーロー

「私はアンタ達の道具じゃない！！」

「……亜樹……？」



怒りで肩が震える。


息も上がってて
情けない姿だって事は
自分でもよく分かってる。


でもさ……。


逃げてばっかりだった自分よりは
ずっと格好良いよね……？



そう思ってたら

その答えをくれるみたいに
優輝は私の背中を優しく叩いた。




「亜樹さんは……亜樹は！！


アンタらと真っ直ぐに
向き合うって決意してここに来たんだよ！！



なのにアンタらは……
真っ直ぐに向き合うどころか


金に目が眩んで
実の娘を売ろうとしてんだぞ！」




優輝の怒鳴り声が部屋に響き渡る。


私の“怒り”を
優輝が代わりに伝えてくれる。


そして闘う勇気を私にくれる。




「社長の息子なんかと結婚しない！！

私は自分が一緒にいたいって
心からそう思える人と結婚します。



私はあなたたち2人みたいな
関係にはなりたくありませんので」




思いっきり皮肉を言う私って
本当に性格が悪いなって思う。