走っても走っても
ちっとも前に進んでいる気がしない。



早く……
早く優輝の顔が見たい!!


額から流れる汗も
切れる息も……


そんなの気にせず
私は走り続ける。





「……っ……」



やっと着いた……。


倉庫の前で息を整える。

胸がドキドキして苦しい。

でもこれは
走ってきたからじゃない。


緊張からの苦しさだ。




「……よっし」



気合いを入れて
倉庫の扉を開ける。


そこには
もう誰もいなかった。


皆は帰ったのかな?



まぁいいや……。


そう思いながら
幹部の部屋に入り


優輝の部屋の前で
深呼吸をする。


……大丈夫……大丈夫。


自分に言い聞かせて
優輝の部屋をノックする。