私のヒーロー

「……ありがとう稜也」

「別に」



あれからずっと黙ったまま
私たちは歩いていた。


ようやく口を開いたのは
私の家の前だ。




「じゃあな。
しっかり休めよ」

「……うん」




私に背を向ける稜也。

歩き出したその足が
ゆっくり止まったのが分かった。




「今は混乱しているだけだ。

時間が経てば……。
きっと元通りになる」



こっちを振り向く事なく
静かな声で言う稜也。


それが私への励ましの言葉だって
事くらい直ぐ分かった。




“ありがとう”
そう小さく呟いた。


稜也に届いているかは
分からないけどきっと届いた。



だって
それに応える様に
軽く手を上げてくれる。


その背中が
凄く逞しくて……。


見ていて涙が出てきた。