私のヒーロー

「やめ……うっ……!!」



どんどん近づいてくる声。

私は物陰に体を隠しながら
声が聞こえる方を見る。


よく見えないな……。
もう少し近づいてみようかな……。


ここからじゃ
何をしてるか全く分からない。


そう思ってゆっくりと近づく。




「うっ……」




ここなら見えるかな?

壁に背中を預け
顔だけ振り向くようにして覗き込む。



なっ!?


私の目に映ったのは
何十人もの男が地面に倒れている所だった。


立っているのは2人。


いや……正確には1人は
“無理やり立たされている”って感じかな。



今にも倒れそうな男の胸ぐらを掴み
何度も何度も殴っている。



助けなきゃっ……!

そう思って飛び出そうとしたけど
私の足はピタリと止まったまま動かない。


違う……。
動けない……。



だって



「調子にのるからこうなるんだよ」



聞こえてきた男の声は
すごく聞きなれている声だったから。