考えてもその理由は分からない。
首を傾げれば
さらに理解できない言葉が飛んでくる。



「アイツには何かある。
僅かだが殺気みたいなものを感じた」

「殺気!?」



姫条くんと殺気。
結びつけても繋がらないんだけど……。



「別に信じなくてもいいが」



そう言って
目を瞑る浅木くん。


私も浅木くんの様に目を瞑る。

浮かんできたのは
姫条くんの笑顔。

そして私が感じた
違和感と哀しみ。



私はゆっくりと目を開ける。



「信じるよ」



浅木くんは
嘘をつくような人じゃない。
だから私は彼を信じる。



「……」



浅木くんは何も言わなかった。
でも……。


少しだけ
浅木くんの口元が緩んだ気がした。