私のヒーロー

「っ……」

「……」



私の体に
痛みを感じることはなかった。

ただ……。
顔が体が熱くなるのが分かる。


目の前にはガッシリとした胸板。
フワッと香ってくるシトラスの匂い。



「あ……浅木くん……。
ありがとう……」

「……」



私が落ちそうになった時
浅木くんは凄い勢いで立ち上がり
私の手を掴んで自分の方に引き寄せた。


そのお蔭で私は
下に落ちる事も無く無事だった。


でも浅木くんに
抱きしめられるとは思ってもいなかった。


って言っても
不可抗力だけど……。