松本先生はわざと
“困っている”という言葉を強調していた。


うっ……。

さすが1年の頃から
私の担任をしているだけある……。
私の扱い方をマスターしている!!


困っている人を
放って置くなんて出来る訳ない。



「分かりましたよ!!」



もう……。
嫌になっちゃうな。


だいたい姫条くんにだって
選ぶ権利があるんだからね!




「ふふっ」



頭を抱えていれば
隣から微笑が聞こえてきた。



「……ん?」

「あっ……ごめんね?
神崎さんが面白くて笑っちゃった」



申し訳なさそうに眉を下げて
私を見ている姫条くん。


なんか子犬みたい……。



「ううん、大丈夫」



私が笑えば姫条くんも
ホッとしたように笑ってくれる。


なんか……。
いい子だな……。