目を開ければ
まるで王子様みたいな笑顔で
私に手を差し伸べている姫条くんが映る。



「神崎 亜樹(かんざき あき)です。
こちらこそ……よろしくね?」



周りの視線が突き刺さる中
差し伸ばされた手を握った。



「神崎!
昼休みに姫条に学校を案内してやれ~!」



手を離し、お互い席に座れば
松本先生の呑気な声が聞こえてきた。


……え?
今……私に言ったの!?



「嫌ですよ!!
面倒くさいですもん!!」



別に姫条くんが嫌だとかではない。
ただ単に面倒くさいだけ。


なのにクラスの皆は
『もったいない』とか
『ありえない』とかを口々に言っていた。



いやいや。
何もったいないって!?
意味分からない!!



「神崎~。
困っている人を放って置くのか?」



ニヤッとした笑みを
浮かべながら私を見ている。