「浅木くんっ……!」




ふわっと香ってくる甘い匂い。
温かい温もり。


気が付いたら
神崎は俺の腕の中に飛び込んできていた。


カタカタと震えるその小さな体を
俺は戸惑いながらも優しく抱きしめる。




「神崎?
どうした?」

「私は……傍にいるっ……」




涙がかった声だが
神崎の優しい声が耳元に聞こえてくる。



コイツの声は
俺の凍った心を温めてくれる。

そんな気がする……。




「浅木くんは1人じゃないっ……!


もし……
闇に飲み込まれそうになった時は
私がその手を引っ張って光の指す場所に
連れて行くから……


だからっ……もう……
哀しみで自分を傷つけないで!!」



神崎の言葉は
不思議と俺の心に溶けていく。


いつだってそうだった。


コイツは俺を
温かい光で照らしてくれていた。