私のヒーロー

「蒼太も鬼畜だよな~。

絶望に陥った顔を見たいからって
わざわざ仲良くなったフリするなんてさ~」


「本当だよな~。
敵には回したくないぜ」




不良たちの声が
遠くの方で聞こえてくる。


信じられない。
信じたくない。



「やめろ……。
やめろよ!!

蒼太はそんな奴じゃ……」

「いい加減にしろよ!!
いつまで夢を見てる。


お前が信じていた……
安藤 蒼太はどこにもいない。
これが本当の俺だ。


俺は……
“紫鬼”っていう
不良グループのトップなんだよ。


お前をぶっ潰すために
稜也の親友のフリをしてきたんだ」




その言葉に
何かが音を立てて
崩れ落ちていった。


もう……
どうでもいい。