私のヒーロー

「何で……そんな奴らと……」



俺の声は震えている。


もう……。
全て分かってしまったんだ。


蒼太があの時

俺に話しかけた理由も
俺に優しく接した理由も。



だけど
信じたくないから。


俺は目を逸らしたんだ。




「稜也~
本当は分かっているんだろ?
俺がお前に近づいた理由」



そう言って
ニヤニヤしながら俺に近づき
耳元でそっと囁いた。




「俺は……。
最初からお前を
陥れるためだけに近づいたんだよ」



怪しい声に
不敵な笑顔に


俺は胸が痛くなった。

苦しくて
辛くて

もう……
何も考えたくない。