私のヒーロー

「あの……浅木くんは……」



落ち着いたところで
ソファーに座っている亮祐に顔を向ける。


なんか……。
言いずらそうな顔してない?



「アイツは……。
逃げるようにどっか行っちまった」




そっか……。
そうだよね。

やっぱり私には
誰かを助ける事なんて出来ない。


誰かの苦しみを
背負えるような強い人間じゃない。




「ったっく……。
泣きそうな顔してんじゃねぇよ!」



そう言って乱暴に
私の頭を撫でまわす姫条くん。




「アイツは今……。

必死に自分と
向き合おうとしてんじゃねぇの?」




自分と向き合う……?

私はその言葉に首を傾げる。




「今まで
アイツはずっと1人だった。

いや……1人になろうとしていた。
アイツの過去は
お前が考えているよりずっと。


辛いものだからな……」



そう言って
少しだけ目を逸らす姫条くん。