私のヒーロー

「消えろ。
今……俺は最高に気分が悪い」



地を這うような低い声とは
まさにこれだろう。


不良たちはみんな
青ざめた顔で固まっていた。



「聞こえなかったか?」

「……っ……」



浅木くんが話しかければ
不良たちはハッとしたように
一目散に逃げて行った。



「浅木くん、ありが……」

「お前もだ。
とっとと俺の前から消えろ」



助けて貰ったお礼を言おうとしたら
鋭い目つきで私を睨んできた。


うーん……。
私って嫌われてる?



「消えろって言われても……。
同じ場所に行くんだし一緒に行こうよ!」

「……」


浅木くんは
何も言わず私から目を逸らし
そのまま歩いて行ってしまう。



「ちょっと待って!!」



それを追いかけるように
私も駆け出す。