ぺピン

「――ッ…」

ビクッと震えた京香に春馬はクスクスと笑った。

この様子だと、どうやら自分は彼女の“初めて”をもらえるようだ。

ただ、自分の“初めて”の相手が京香じゃないと言うのは残念だけど。

「――京香…」

京香の耳元で、彼女の名前を呼んだ。

「――ッ、一馬さん…?」

京香が兄の名前を呼ぶ。

自分以外の名前を呼ばれたことに、春馬の胸がチクリと痛んだ。

(俺は兄貴として、京香を抱くんだ…。

京香のためにも、上手に兄貴の代わりを演じればいい…)

チクリと痛んだ胸にそう言い聞かせると、京香の唇に自分の唇を重ねた。