ぺピン

「あなたのことは“春馬”って名前で呼ぶわ。

だから、一馬さんの身代わりになって。

今すぐ私を抱いて」

「いや、ちょっと…」

「お願い」

京香が手を握ってきた。

自分を見つめている瞳は、懇願していると言っても過言ではなかった。

「もしかしたら、お姉ちゃんと一馬さんを殺してしまうかも知れないの…。

お姉ちゃんと一馬さんを殺したら、私は死んでしまうかも知れないの…。

そうならないためにも、私を止めて…。

お願い、一馬さんの代わりに私を抱いて…。

一馬さんを殺したくないの…」

爪が皮膚に食い込んで、痛い。

握っているその手は震えている。