ぺピン

「返してよ!

目黒さんを返して!

京香の目黒さんを返して!」

「京香!」

叫ぶように呼ばれた名前に、京香はピタリと止まった。

「やっと落ち着いた…」

春馬は息を吐いた。

「なるほどな…。

お前の好きな人は、兄貴だったんだな。

兄貴にずっと片思いをしていたから、実の姉を許せないんだな…」

そう言った春馬を、京香はにらみつけた。

「おいおい、にらみつけるなよ。

本当のことを説明したまでだろ」

「違うわ」

京香は首を横に振った。