ぺピン

池ノ上が立ち去ったことに、京香はホッと胸をなで下ろした。

「相手によっては対応の仕方を考えた方がいいぜ、2年1組の上杉京香さん」

男が京香に声をかけた。

「えっ…どうして、私の名前を…?」

驚いて聞いてきた京香に、
「知ってるも何も、あんたは結構有名だよ?

成績は常に学年10位以内には入ってるし、そのうえ美人だし」

男はニッと歯を見せて笑った。

「危ないところを助けてくれて、ありがとうございました」

京香は男に頭を下げた。

「おいおい、俺の名前を聞かないのかよ」

男はやれやれと言うように両手をあげた。