やっぱり、渋谷恭汰は自宅にまで押しかけてきたか…。

「もちろん、追い返したんでしょ?

手切れ金は受け取ってないんでしょ?」

そう聞いた京香に、
「まあな、ただ追い返すまでの間が大変だったけど」

春馬は思い出したと言うように毒づいた。

「大変だったって?」

春馬は息を吐くと、
「あいつさ、俺と京香の関係は何だって聞いてきたんだ。

京香の義弟だって答えたら、今度は俺の名前を聞いてきやがった。

まあ、答えた直後に帰ってくれてよかったけど」
と、言った。

「確かにあいつは、普段男を食い物にしている京香がウザがる程のまじめ人間だな」

そう言った春馬に、
「男を食い物、って言うのはひどいんじゃない?」

京香は毒づくように言い返した。