「何だよ、しつこいな。

警察を呼ぶぞ」

男が恭汰をにらみつけてきた。

「これで最後の質問にします。

あなたの名前を教えてくれませんか?」

そう質問をした恭汰に、
「答えたら本当に帰るんだろうな?」

男が聞き返した。

「もちろんです」

首を縦に振ってうなずいた恭汰に、
「目黒だよ。

目黒春馬(メグロハルマ)、これでいいだろ」

男――春馬が自分の名前を言った。

「ありがとうございました。

夜分遅くにすみませんでした」

恭汰は春馬に頭を下げると、その場から立ち去った。