そう聞いた恭汰に、
「何であんたにそんなことを教えないといけないんだよ」

男は呆れた言うように息を吐いた。

「あなたが姪――上杉さんの娘さんのことを口に出されたから」

「質問にちゃんと答えたら帰ってくれるんだよな?

時間も時間なんだ」

男はイラついたように恭汰に言った。

「はい、帰ります」

恭汰が首を縦に振ってうなずいたことを確認すると、
「義弟だよ。

京香の娘からして見たら、“おじさん”って呼ばれる立場になるな」

男が答えた。

「おじ、ですか」

「ああ、そうだよ。

もうとっとと帰ってくれないか?

あんまり遅くなると、俺が京香に叱られるんだから」

そう言ってドアを閉めようとした男を、恭汰は止めた。