「お疲れ様です」

「はい、お疲れ様」

その日も京香は定時で仕事を終わらせた。

恭汰は彼女がオフィスからいなくなった30分後に仕事と終わらせると、
「お疲れ様でしたー」

オフィスを後にした。

カバンに1万円札が入っている封筒を確認した後、恭汰は駅へと足を向かわせた。

電車に乗って京香の自宅がある駅に向かいながら、恭汰はどうやって彼女に封筒を渡すかと考えていた。

(直接彼女の手に渡したら、また突き返されるのが関の山だろうな)

だけど、この1万円札は京香のお金だ。

自分が使う、ましてや持っていると言う訳にはいかない。