『お先に失礼します 

お代はここに置いておきます 上杉』

そう書いてあった手紙の横には1万円札があった。

京香は自分に抱かれた後、すぐに服を着て出て行ったみたいだ。

「――呆気ないにも程があるだろ…」

手紙を読んだ恭汰は呟いた。

――既婚者には手を出さないなんて、先輩らしいですね

京香の挑発に乗ってしまった自分も自分で悪いのだが、結末が結末なだけに何も言えなかった。

「早くここを出よう…」

手紙を丸めてゴミ箱に捨てると、恭汰は服を身につけた。

(この1万円札は、明日上杉さんに返そう)

恭汰はそう言い聞かせると、財布に1万円札を入れた。