サラリと、動いたことによってハーフアップにされた黒髪が揺れた。

「では、本日の朝礼はこれで終わりにする。

みんな、仕事に取り掛かるように」

部長の一言で朝礼が終わり、全員がそれぞれの仕事に取り掛かった。

京香が恭汰の前にやってきた。

間近で見る京香の美しさは、高校時代と全く変わっていなかった。

「お久しぶりです、渋谷恭汰先輩」

京香が小さく頭を下げた。

「ああ、久しぶりだね。

驚いたよ、まさか君がここに勤めることになったなんて」

そう言った恭汰に、
「10年ぶり…と言うところでしょうかね?

最後にお会いしたのは、先輩の卒業式でしたからね」

京香が言い返した。