「では、上杉さんの指導係は…」

部長がその場を見回した。

――彼女の指導係になりたい!

全員が願っていることは同じだ。

もちろん、恭汰もその1人である。

「渋谷恭汰くん、君にお願いしよう」

部長が言った。

(やった!)

恭汰は心の中でガッツポーズをした。

「何だー」

「俺、やりたかったのに…」

「仕方ないわね」

その場にガッカリした空気が流れる中、恭汰は1人優越感に浸っていた。

「渋谷くんのデスクの隣が君のデスクだから」

「はい、わかりました」

京香は丁寧に部長に頭を下げた。