「ありがとうございましたー」

店の外までお客を見送ると、春馬はすぐ近くに京香がいることに気づいた。

春馬は京香に歩み寄ると、
「どうした?」

京香に声をかけた。

近くで見て初めて気づいたが、京香は浮かない表情をしていた。

「京香…?」

その様子に思わず声をかけた春馬に、
「どうしよう…」

京香が呟いた。

「何が?」

思わず春馬は聞き返した。

「私…」

京香は春馬から目をそらすようにうつむくと、
「妊娠、してた…」
と、呟いた。