「上杉さん、休みだって」

同僚の声に恭汰は視線を向けた。

そう言えば、京香の姿がこの場にいないことに気づいた。

「風邪でもひいたんじゃねーか?」

そう言ったのと同時に、
「おい、何か聞いてねーか?」

同僚に声をかけられ、恭汰は戸惑った。

「えっ、何で聞くんですか?」

思わず聞き返した恭汰に、
「渋谷くんが知る訳ないじゃん」

同僚が笑いながら言った。

その言葉に、恭汰は複雑な気持ちになった。

(確かに、俺は上杉さんのことを何も知らないな…)

心の中で呟いた後、恭汰は息を吐いた。