(もしあいつの妊娠が当たっていたら、俺が父親になるしか他がないのかも知れない…)

トンと、春馬は壁に頭をぶつけた。

(俺は結局、何をしたって言うんだ…?)

一馬の身代わりになると提案したのは、京香を止めるためのとっさのウソだった。

彼女が死んでしまうような気がして、彼女が一馬と東子を殺してしまうような気がして…とっさだったとは言え、そんな提案をしてしまったのだ。

だけどそんな提案は、京香を初恋に縛りつけただけだった。

春馬は両手で頭を抱えた。

(バツを受ける覚悟は、もうできている…)

心の中で言い聞かせると、春馬は目を閉じた。