同じ頃。

「あー、店員に乗せられてiPhoneに機種変するんじゃなかったー…」

恭汰はやれやれと言うように息を吐いた。

手の中に視線を向けると、この間機種変したばかりのiPhoneがあった。

機種変に伴い、家族や友人たちにアドレスが変更したと言うメールを送信しているところなのだが、これが大変である。

「使いにくい以外、何にも思い浮かばないなあ…。

乗せられた俺も俺だけど、店員も勧めてくるなよ…」

恭汰は毒づくように言った後、パタンと手帳タイプのカバーを閉じた。

それをベッドのうえに放り投げるように置くと、恭汰は息を吐いた。

天井を見あげると、頭の中に京香の顔を思い浮かばせた。