「――春馬…」

呟くように名前を呼んだ京香に、
「何かあったのか?」

春馬は聞いた。

「ごめん…。

今日は、疲れてるみたい…」

呟くように言った京香に、
「ああ、そうか…」

春馬は息を吐いた。

彼のその顔から目をそらすように、京香は枕に顔を埋めた。

(何で…?

何でなの…?

京香の好きな人は、一馬さんなのに…)

自分に言い聞かせた後で京香は目を閉じて、一馬の顔を頭の中に思い浮かべようとした。

しかし、浮かんできたのは恭汰の顔だった。