「何でそんなことを言うために、私が先輩に近づかないといけないのよ?」

何クソと言い返してきた京香に、
「はいはい、すみませんでした」

春馬はやれやれと息を吐きながら謝った。

「まあ、これで問題は解決したんだろ?」

続けて言った春馬に、
「…そうね」

京香は呟くように返事をした。

浮かない様子で返事をした京香に、
「――京香…」

春馬は京香の名前を呼んだ後、唇を重ねた。

京香が背中に両手を回してきた。

「――一馬さん…」

兄の名前を呟いた京香の顔を、春馬は覗き込んだ。