ぺピン

その数日後の夜。

恭汰は仕事が終わると、京香と過ごしているいつものホテルにやってきた。

コンコンとドアをたたくと、ガチャッとドアが開いた。

恭汰が中に足を踏み入れると、いつものようにタオルを躰に巻いた京香がいた。

テーブルのうえに視線を向けると、ウイスキーのボトルと氷があった。

「今日はお酒が飲みたかったから、頼んだんです」

テーブルのうえの視線に気づいたと言うように、京香が言った。

「君にもそんなことがあるんだね」

そう言った恭汰に、
「よろしければ…」

京香はグラスを差し出した。

「初めてウイスキーの水割りを作ったので、上手にできているかはわかりませんが…」

そう言って目を伏せた京香に、
「じゃあ、いただこうかな」

恭汰はグラスを受け取った。