ぺピン

「とりあえず、既成事実さえなくなればそれでいいんだろ?

それをなくせばいいんだよ」

そう言った春馬に、
「よくわからないんだけど…?」

京香は首を傾げた。

「睡眠薬を先輩に飲ませて、先輩を眠らせる。

そいつが眠っている間に、そいつのスマートフォンから既成事実を削除するんだよ」

言い終わった後、春馬はニヤリと笑った。

「でも削除するって言ってもロックがかかってたらどうするのよ?

何より、バックアップを取られたら…」

不安そうに言った京香に、
「見るからにアホそうなヤツだ。

たぶん、バックアップなんかしていないと思う。

それにロックの解除くらい、お前にもできるだろ?」

春馬が言った。