「どうしてですか?

やるべきことは終わりましたよ?」

強制的に横にさせられた京香は毒づくように言った。

「朝まで俺と一緒に過ごす約束だったじゃないか」

そう言って京香を自分の腕の中へと抱き寄せようとしたら、
「そんな約束をした覚えはありません」

京香は手を振り払うと、躰を起こした。

それからベッドの下に落ちた衣服を身につけると、ソファーに置いてあったカバンを手に持った。

その間、京香は自分の方に視線を向けてくれなかった。

「では先輩、また明日会社で」

自分に背中を向けたままの状態で京香は一言言うと、その場から立ち去った。

バタンと、ドアが閉まった音が聞こえた。

「――今日もダメだったか…」

呟いた後、恭汰は息を吐いた。